このページの要点
- 診療契約は一般に準委任で、善管注意義務を負うが、結果は約束しない(民法643条・644条・656条)。必ず治るとも、一切の責任を負わないとも書かない。
- 説明事項は、治療の内容、代替手段、期間、リスク・副作用、費用、中断時の扱い、保証。医療法1条の4第2項は適切な説明と理解を得る努力義務を定める。
- 前払いには特約が要る(民法648条)。中断・転院の精算は、治療の段階ごとに決め、平均的な損害を超える違約金は無効(消費者契約法9条1項1号)。
- 保証は効果の保証ではなく、期間と条件つきの無償修理・再製作の約束。「当院の判断で」は、責任の有無を事業者が決める条項(同法8条1項1号)になり得る。
インプラント、歯列矯正、美容施術のように、公的医療保険の給付の対象にならない自由診療では、料金も、治療の進め方も、やめたときの精算も、保険診療のように決まった枠がありません。そのため、治療の前に患者と取り交わす書面が、保険診療よりも大きな役割を持ちます。ところが、実際の書面は、「治療同意書」「説明書」「診療契約書」「誓約書」の呼び名が混ざり、何を約束する書面なのかがはっきりしないまま使われていることが少なくありません。
このページは、自由診療の書面について、一般的な情報として、民法・医療法・消費者契約法などの条文と、所管官庁の公表資料で確認できる範囲を整理したものです。治療の内容や適否、個別の書面が適法かどうかの判断は、事務所が行うものではありません。書面の役割を分けて考えると、書くべきことの見通しが立ちます。
治療の書面の役割分担
観点
説明書・同意書
診療契約書(料金・約束)
目的
治療の内容、代替手段、リスク、費用などについて説明を受け、理解したことの記録
費用、支払、治療の中断・終了、保証などの約束を決める書面
中身の中心
治療の内容・方法・期間、通常必要とされる治療の範囲、主なリスク・副作用、他の選択肢、費用
総額と内訳、支払の時期と方法、追加費用の条件、中断・転院・解約時の精算、保証の範囲と条件
根拠の中心
医療法1条の4第2項(適切な説明と理解を得る努力義務)、医療法施行規則1条の9の2(情報提供の要件)
民法(準委任、報酬、解除)、消費者契約法(8条〜10条)、民法548条の2(定型約款)
署名の意味
説明を受けた事実と理解の確認。責任を免除する合意ではない
約束する内容への合意。条項の一方的な免責・不当な負担は無効になり得る
保管
診療録とあわせて保管。診療録は5年間保存(医師法24条2項。歯科医師は歯科医師法23条2項)
契約の写しを患者に渡す。料金表・保証書も契約の一部として扱う
書面を1通にまとめることも、分けることも可能です。まとめる場合も、説明と契約の見出しを分けて、患者が何に署名しているのかが分かるようにします。
診療契約は準委任:結果を約束する契約ではない
診療契約は、患者が医療機関に診療という事務を委託する契約で、法律行為でない事務の委託として、準委任の規定が準用されると整理されるのが一般的です(民法643条、656条)。受任者である医療機関は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって事務を処理する義務を負います(民法644条)。これは、必ず治すという結果を約束する義務ではなく、診療を適切に行う義務です。請負のように、仕事の完成を約束して報酬を受ける契約(民法632条)とは性質が違います。
この性質は、書面の書き方に表れます。自由診療の書面に「必ず治る」「元に戻る」「痛みが完全になくなる」と読める表現があると、準委任の枠を超えた結果の約束と受け取られるおそれがあります。反対に、「結果にかかわらず一切の責任を負わない」とする書き方は、診療を適切に行う義務まで免れる定めとして、消費者契約法8条(後述)で無効になります。書面は、診療を適切に行うことと、結果は個人差があり保証しないことを、両方とも、はっきり分けて書きます。
説明については、医療法が、医師・歯科医師・薬剤師・看護師その他の医療の担い手に、医療を提供するに当たり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努める義務を定めています(1条の4第2項)。努力義務の形ですが、自由診療の書面の中心はここにあります。そして、この説明を受けたことの確認として署名してもらう書面は、責任を免除する書面ではありません。「合併症については同意したものとする」と書いても、その合併症が起きたときの医療機関の責任の有無が、その一文で決まるわけではありません。
説明事項:何を、どの書面で、どの時点までに伝えるか
自由診療について、医療機関が広告として情報を出すときの要件が、医療法施行規則1条の9の2にあります。患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイト等であること、問い合わせ先を明示すること、自由診療に係る通常必要とされる治療等の内容・費用等に関する事項と、主なリスク・副作用等に関する事項について、情報を提供すること、の四つです。ここで求められている情報は、そのまま、治療の前の説明で患者に伝える中身の骨格でもあります。ホームページで載せた内容と、診察室で説明する内容、同意書に書く内容が食い違っていないことが、一貫性の基本です。
| 説明事項 | 書面での書き方 | 確かめておくこと |
|---|---|---|
| 治療の内容・方法 | 治療の名称、実施する処置、使用する材料・機器、1回あたりの内容、通院の回数 | 一般的な名称で書く。患者が別の医療機関と比べられる表現にする |
| 代替手段 | 他の治療方法(保険診療を含む)と、何もしない場合の見通し | 自由診療を選ぶ理由を、診察で患者に伝えているか |
| 期間と通院 | 治療の開始から完了までの見込み、通院の間隔、メンテナンス | 見込みであって約束でないことを書く |
| リスク・副作用 | 通常起こり得る症状、まれでも重大なもの、治療後の経過で患者が注意すること | 個人差があること、治療方法や患者の状態で変わること |
| 費用 | 総額、内訳、支払の時期と方法、追加費用が生じる条件、税込・税別の別 | 費用の項目に漏れがないか(検査、技工物、材料、メンテナンス) |
| 中断・転院・やめた場合 | 治療を途中でやめたときの精算、他院へ移るときの情報の扱い | 費用の返金の定めと整合しているか |
| 保証の有無と範囲 | 保証の対象、期間、条件、無償の範囲 | 広告・説明の内容と食い違わないか |
リスクは、「起こり得るもの全て」を並べるよりも、「通常起こり得るもの」と「まれでも重大なもの」を区別して書くと、患者に伝わりやすくなります。
説明の誤りと不足は、契約の取消しにもつながり得ます。消費者契約法は、重要事項について事実と異なることを告げて契約させた場合の取消し(4条1項1号)と、利益になる事実を告げ、不利益な事実を故意または重大な過失で告げなかった場合の取消し(4条2項)を定めています。治療の効果だけを大きく話し、リスクと費用の説明が足りなければ、その部分が問題になります。
署名する人にも注意が必要です。未成年者が法律行為をするには、法定代理人の同意を得なければならず、同意のない法律行為は取り消すことができます(民法5条1項・2項)。高額な自由診療の契約では、未成年の患者の場合、親権者の同意の確認を、書面の署名の手順に入れておきます。判断能力に不安のある患者の場合も、本人への説明が先であり、家族の同席の扱いを決めておきます。
診療録は、診療をしたときに遅滞なく記載します(医師法24条1項。歯科医師は歯科医師法23条1項)。説明の内容と、患者が理解した経過は、診療に関する事項として診療録にも記録しておくと、同意書の署名と合わせて、後で説明の経過を確かめる材料になります。同意書の読み合わせと情報提供の同意の書き方は情報提供の同意書でも紹介しています。
費用:前払い・分割払い・追加費用
自由診療の費用は、書面で、総額と内訳を示します。税込か税別かを明記し、検査、診断、材料、技工物、メンテナンスなど、費目ごとに分けて書きます。治療の途中で内容が変わる可能性があるときは、追加の費用が生じる条件と、その金額を決める手順(患者に説明して同意を得てから行う、など)を書いておきます。
前払いについて、民法は、委任の受任者は、特約がなければ報酬を請求できず、報酬を受けるべき場合も、事務を履行した後でなければ請求できないと定めています(648条1項・2項)。つまり、治療の費用を前払いで受け取るには、前払いの特約が必要です。前払いにするときは、書面で、いつ・いくらを払うかを決め、治療が途中で終わったときの精算の仕方(次の節)まで合わせて決めます。履行の割合に応じた報酬の請求(648条3項)も、中断のときの考え方の基礎になります。パッケージの途中解約の返金の計算はキャンセル料・返金の考え方で紹介しています。
分割払いのうち、患者が信販会社の個別クレジット(個別信用購入あっせん)を使う形では、役務の提供を受ける者は、医療機関に対して生じている事由を理由に、信販会社への支払の請求に抗弁できます(割賦販売法35条の3の19第1項、2条4項)。この仕組みは、役務の種類を指定役務に限っていません。ただし、支払総額が政令で定める金額(4万円)に満たない場合は適用されません(同条4項、同法施行令26条)。医療機関自身が、2か月以上の期間にわたり3回以上に分割して代金を受け取る形は、割賦販売法2条1項では、「指定役務」を提供する場合に限られます。自院の分割払いを設ける前に、その治療が指定役務に当たるかを確認します。
特定商取引法の特定継続的役務提供(コースの契約)は、美容医療のうち、脱毛、にきび・しみ等の除去、しわ・たるみの軽減、脂肪の減少、歯牙の漂白の五つの役務に限られます(施行令別表第四の二の項、施行規則91条)。インプラントや歯列矯正は、この列挙にありません。ただし、これは「特定継続的役務提供の書面の義務が課されない」という意味であって、消費者契約法の規制がなくなるという意味ではありません。美容医療のコースの書面は美容医療の契約書と特定継続的役務提供で整理しています。
治療の中断・転院・解約:精算を段階に分けて決める
委任は、各当事者がいつでも解除できます(民法651条1項)。患者が治療をやめたい、転院したいと言ったとき、医療機関が止めることはできません。ただし、解除をした者は、相手方に不利な時期に解除したときは、やむを得ない事由がない限り、相手方の損害を賠償しなければなりません(同条2項)。この損害の範囲は、医療の性質を踏まえて、慎重に考える必要があります。
書面では、中断・転院・解約のときの精算を、治療の段階ごとに決めます。消費者契約法9条1項1号は、契約の解除に伴う損害賠償の額の予定や違約金の定めのうち、同種の契約の解除に伴い事業者に生ずべき平均的な損害の額を超える部分を無効としています。「中断した場合は、理由を問わず、一切返金しない」とする定めは、提供済みの治療を超えて患者に負担を求める部分が、この規定や、同法10条(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)の問題になり得ます。
| 治療の段階 | すでに提供した内容 | 精算で考えること |
|---|---|---|
| 診察・検査・診断 | 診察、画像検査、診断、治療計画の作成 | 実費と実施した診察・検査の費用。その内訳を契約時の料金表に載せておく |
| 治療の準備 | 前処置、型取り、材料の発注、技工物の発注 | 発注済み・製作済みの材料や技工物の実費。製作に着手した後に取消せない部分があるか |
| 治療の実施 | 手術、装置の装着、複数回に分かれた処置のうち実施済みのもの | 実施した処置の対価。1回ごとの対価が分かる形に |
| 経過観察・メンテナンス | 定期の検診、調整、清掃 | 期間で区切るか、回数で区切るか。提供済みの部分と未提供の部分を分ける |
| 医療機関の都合による中断 | 休診、担当医の退職など | 患者が負担しない。転院に必要な資料の提供と費用の返還 |
段階ごとの精算額は、契約時の料金表の費目と一致させます。平均的な損害を超える部分の違約金は無効(消費者契約法9条1項1号)になるため、「手数料」の名目でも同じです。
- 患者は、治療の途中で、いつでも、本契約を解除することができる。
- 前項の解除があったときは、当院は、別表の料金表に基づき、解除の時点までに提供した診察・検査・治療の対価および、すでに発注し又は製作に着手した材料・技工物の実費を、患者が支払った費用から差し引いて精算し、残額を返還する。
- 当院は、前項の精算の内訳を、患者の求めに応じて説明する。
- 当院の都合により治療を継続できなくなったときは、当院は、患者が他の医療機関で治療を継続するために必要な情報を提供し、未提供の部分の費用を返還する。
精算の内訳の説明は、消費者契約法9条2項(算定根拠の概要を説明する努力義務)にも沿います。
医療機関側から治療を終えたいときも、注意が必要です。診療に従事する医師は、診察治療の求めがあった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではなりません(医師法19条1項。歯科医師は歯科医師法19条1項)。患者が通院しないことや、支払が滞ることが、直ちに正当な事由になるわけではありません。無断で中断が続いた場合の連絡の手順、再開するときの費用の扱い、診療関係を終えるときの通知の方法は、あらかじめ書面に書いておきます。また、診療に従事する医師・歯科医師は、必要に応じ、患者を他の医療提供施設に紹介し、診療に必要な情報を提供するよう努める、とされています(医療法1条の4第3項)。転院の場合の情報の扱いも、書面に入れておくと混乱が少なくなります。
保証期間:何を、いつまで、どの条件で直すのか
インプラントや補綴物(かぶせ物・入れ歯など)では、「保証」を付けることが多くなります。この「保証」は、治療の効果を保証するものではなく、「一定の期間内に、一定の条件のもとで、無償で再治療や再製作をする」という、契約上の約束にすぎません。そう読めるように書かないと、患者は「保証がある=失敗しても必ず直る」と受け取ります。書面には、次の点を書きます。
- 保証の対象:上部構造(かぶせ物)だけか、埋入した部分も含むか、矯正の後戻りは含むか。
- 期間と起算日:治療の完了の日から数えるのか、装着の日から数えるのか。
- 無償の範囲:診察料、材料費、技工料、再手術の費用のうち、どれが無償か。
- 条件:定期検診の受診、口腔内の清掃、指示した通院を守ること、他の医療機関で当該部分の処置を受けないこと。条件に反したときに保証が使えなくなる範囲も、書く。
- 対象外の事由:外傷、事故、天災、患者の健康状態の大きな変化など、保証から外す事由。
- 手続:不具合を見つけたときの連絡先と、再診の予約の手順。
保証の免責の書き方には、消費者契約法の制約があります。事業者の債務不履行による損害賠償責任の全部を免除する条項、または責任の有無を決定する権限を事業者に付与する条項は無効です(8条1項1号)。故意または重大な過失による責任の一部の免除も無効で(同項2号)、不法行為についても同じです(同項3号・4号)。軽い過失による責任の一部を免除する条項も、それが重大な過失を除く過失による行為にのみ適用されることを明らかにしていなければ、無効になります(同条3項)。「当院の判断により保証の適用を決める」と書くことも、事業者に責任の有無を決める権限を与える条項として、同条1項1号に当たり得ます。保証の条件は、「当院の判断」ではなく、客観的に確かめられる事実で書きます。
広告で「保証」と書くときは、別の規制が関わります。医療法6条の5は、虚偽の広告と誇大な広告を禁じています。厚生労働省の通知(令和7年8月15日、医政発0815第21号)は、「絶対に安全」「必ず綺麗になる」といった医学上あり得ない表現を、虚偽広告の例として挙げています。保証の期間と条件を広告に書くなら、書面と同じ内容で、効果の保証と読める表現を避けます。広告の整理は医療広告ガイドラインと契約書を参照してください。
- 当院は、治療の完了の日から◯年間、補綴物の破損・脱落その他の不具合が、通常の使用の範囲で生じたときは、別表の範囲で、無償で修理又は再製作を行う。
- 前項の保証は、治療の効果を保証するものではない。
- 保証を受けるには、患者が、当院が指示する間隔で定期検診を受けていることを要する。ただし、当院の都合により検診を受けられなかった期間は、この限りでない。
- 患者の故意又は過失による破損、外傷、事故、天災その他の事由による不具合は、保証の対象としない。
「当院の判断で」ではなく、定期検診の受診の有無などの客観的な事実で、保証が使えるかを決められる形にします。
消費者契約法・定型約款との関係:条項ごとの点検
自由診療の書面のうち、同じ書式を多くの患者に共通して使う部分(診療規則や利用規約のような部分)は、定型約款に当たる場合があります。診療の内容や費用を患者ごとに決める部分は、定型約款に当たらないこともあります。民法548条の2は、定型取引を行う合意をした者が、定型約款の個別の条項についても合意したものとみなされると定める一方、相手方の権利を制限し義務を加重する条項のうち、信義に反して相手方の利益を一方的に害するものは、合意しなかったものとみなされるとしています(同条2項)。患者と医療機関の関係では消費者契約法も適用されるため、条項ごとに、無効になり得る点を確かめます。
| 条項の例 | 問題になり得る点 | 直し方の方向 |
|---|---|---|
| いかなる場合も、当院は一切の責任を負わない | 債務不履行・不法行為の責任の全部免除(消費者契約法8条1項1号・3号) | 診療を適切に行うことと、結果の個人差を分けて書く。責任の限定は、軽い過失に限ることを明らかにする(8条3項) |
| 合併症は同意したものとする | 同意書の署名が責任の免除と読まれる。説明の不足にもつながる | 「説明を受け、理解した」という確認にとどめ、起こり得るリスクを具体的に書く |
| 中断した場合は、理由を問わず一切返金しない | 平均的な損害を超える違約金(9条1項1号)、利益を一方的に害する条項(10条) | 段階ごとの精算表にする。医療機関都合の中断は別に定める |
| 保証の適用は当院の判断による | 責任の有無を事業者が決める条項(8条1項1号) | 定期検診の受診など、客観的な事実で条件を書く |
| 不具合があっても解除できない | 債務不履行による解除権の放棄(8条の2) | 解除権を放棄させる書き方を避ける |
| 治療の結果に不満があっても、費用は返金しない | 結果の不満だけで返金する義務は通常ないが、説明の誤りや債務不履行があれば別の問題になる | 「結果の保証をしない」と、「債務不履行があった場合は法令に従う」を並べる |
自由診療の書面を作る前の点検
- 説明書・同意書と、診療契約書(料金・約束)の役割が、書面の見出しで分かれているか。
- 治療の内容、代替手段、期間、リスク・副作用、費用が、通常必要とされる範囲で書かれているか。ホームページの内容と食い違っていないか。
- 費用の総額、内訳、税込・税別、支払の時期、追加費用の条件が書かれているか。前払いの特約が書面にあるか。
- 中断・転院・解約の精算が、治療の段階ごとに決まっているか。平均的な損害を超える違約金になっていないか。
- 保証の対象・期間・条件・無償の範囲が、客観的な事実で書かれているか。効果の保証と読めないか。
- 未成年の患者の場合、親権者の同意の確認の手順があるか。
- 説明の内容と同意の経過を、診療録にも記録する運用になっているか。
ヒヤリングで確かめること 自由診療の書面を整える前に確認したいこと
自由診療のメニューは、治療の名前だけで説明していますか。方法や材料まで書いていますか。
患者が他院と比較できるかは、説明の質と、広告の要件の両方に関わります。
料金は、治療の全体を総額で示していますか。途中で追加の費用が出ることはありますか。
追加費用の条件を書いておかないと、後で「聞いていない」という争いになりやすくなります。
前払いで受け取る費用はありますか。治療が途中で終わったとき、どう精算していますか。
前払いの特約と、中断時の精算の表を、セットで決めるためです。
保証を付けていますか。条件は、定期検診の受診以外にありますか。
保証の条件が、患者の行動に過度な負担を課していないかを確認します。
未成年の患者や、家族が付き添う患者は、どのくらいいますか。
署名する人と、説明を受ける人を、書面で整理するためです。
起きがちなこと
よくあるご質問
治療同意書にサインしてもらえば、治療の結果についての責任は免除されますか。
されません。同意書は、治療の内容やリスクなどについて説明を受け、理解したことの記録です。医療機関の責任を免除する書面ではなく、債務不履行や不法行為による損害賠償責任の全部を免除する条項は、消費者契約法8条1項により無効になります。医療法1条の4第2項は、医療の担い手に、適切な説明を行い、理解を得るよう努める義務を定めています。
自由診療の費用を前払いで受け取るには、何が必要ですか。
民法648条により、受任者は、特約がなければ報酬を請求できず、報酬を受けるべき場合も、事務を履行した後でなければ請求できません。前払いを受けるには、書面で前払いの特約を結ぶ必要があります。あわせて、治療が途中で終わったときの精算の方法も決めておきます。
治療を途中でやめた患者に、返金しない扱いにしてよいですか。
「理由を問わず一切返金しない」とする定めは、提供済みの治療を超えて患者に負担を求める部分が、消費者契約法9条1項1号(平均的な損害を超える部分は無効)や10条の問題になり得ます。治療の段階ごとに、提供済みの診察・検査・治療の対価と、発注済みの材料・技工物の実費を精算する形で決めるのが、基本です。
インプラントなどの保証は、どう書けばよいですか。
保証は、効果を保証するものではなく、一定の期間・条件で無償で修理や再製作をする約束として書きます。対象、期間と起算日、無償の範囲、条件、対象外の事由、連絡の手順を書き、「当院の判断で」ではなく、定期検診の受診など客観的な事実で条件を決めます。広告で「必ず」などの表現を使うことは、医療法6条の5の問題になります。
自由診療の分割払いで、気をつけることは何ですか。
患者が信販会社の個別クレジットを使う場合は、施術所に生じた事由を信販会社への支払の抗弁にできる仕組みがあります(割賦販売法35条の3の19。支払総額が4万円に満たない場合は対象外)。医療機関自身が2か月以上・3回以上の分割で受け取る形は、割賦販売法2条1項で指定役務に限られるため、その治療が指定役務に当たるかを確認します。
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本ページは一般的な情報提供です。医療機関の開設・介護保険の指定などの許認可の手続、診療報酬の請求、労務の手続は扱っていません。事務所の改訂例・ご相談の事例として紹介している内容は、アトラス行政書士法人が作成・レビューしてきたクリニックのウェブサイトの利用規約・プライバシーポリシー、訪問看護・自費リハビリ・生活支援の利用契約書、医療機関との業務提携契約書、介護事業の譲渡契約書、歯科医院の契約書などを、個別の事業者が特定できない形に整理したものです。条文は e-Gov法令検索で、医療広告の記述は厚生労働省の医療広告等ガイドライン(令和8年3月30日最終改正)で確認しています(最終確認日:2026年10月21日)。参考: e-Gov法令検索 / 医療法における病院等の広告規制について(厚生労働省) / 個人情報保護委員会